収納から考える注文住宅の間取り・家事動線の工夫
その収納、子どもが増えても。
しまう場所は、あとから増やせない。
棚は買い足せます。
間取りは、足せません。



玄関の土間を一畳広げることも、洗面の隣にクローゼットを付けることも、図面のときにしかできません。
日々
心当たり、ありませんか。


クローゼットに入りきらなかった服が、ハンガーラックに移った。
そのラックの下にも、いま何かが積んである。
玄関にベビーカーを置いたら、人がすれ違えなくなった。
傘立ては、外に出した。
取り込んだ洗濯物を、しまいに行くのが面倒で。
気づけばソファが、たたんだ服の置き場になっている。
どれも、片づけ方の問題ではありません。
モノが増えたのではなく、
しまう場所が、そこになかっただけ。
考え方
収納は、広さじゃなく、
場所の問題。
収納を増やす、と言うと、たいてい坪数の話になります。坪数が増えれば、金額も増える。だから「うちの予算では無理か」で、話が終わる。
でも、思い出してみてください。いま困っているのは、本当に「入らない」ことでしょうか。
入る場所は、あるんです。階段下にも、寝室のクローゼットの上にも、まだ隙間はある。ただ、そこまで持っていくのが面倒なだけで。
遠い収納は、使われない。
使われない収納は、無いのと同じです。
床面積ではなく、壁面積で考える。
収納を設計するとき、最初に見るのは面積ではありません。壁が、どれだけ使えるか。
同じ広さでも、ウォークインクローゼットより、奥行きの浅い普通のクローゼットのほうが、しまえる量は多くなることがあります。人が中に立つ場所は、収納には使えないからです。
図の A・B・C が、収納です。

ウォークスルー
4.5帖

コンパクト+書斎
4.5帖

壁面
4.5帖
収納の量は、3つとも同じです。
違うのは、置いた場所だけ。余ったぶんで、書斎が生まれることもあります。
※各タイプの収納スペースは同程度の面積です。プラン例です。

1,820mm・引き違い戸
開口は 910mm

1,365mm・両開き戸
開口は 1,365mm
広いほうが、入らない。
収納が「広さの話ではない」というのは、こういうことです。
収納は「まとめる」ことを意識しました。例えば、玄関土間収納やファミリークローゼットなど、物や服を整理しやすいスペースを作りました。部屋ごとに小さな収納を設けるより、大きな収納を一ヶ所にまとめる方が使いやすいと感じたからです。
動線
しまう場所は、
動線の上にある。
実際に建てた方が、収納の何にこだわったか。出てくるのは大きさの話ではなく、ほとんどが順番の話でした。

帰ってきて、そのまましまう
玄関で靴を脱いだら、そのまま洗面へ。上着とカバンは、その途中で降ろす。リビングに入る前に、手ぶらになっている。
家に帰ってきたらすぐにパントリーとかキッチンに行って荷物を置けたり、洗面室行ってすぐ手が洗えたり、そのままお風呂に行けたり。[…]

洗って、干して、そのまましまう
共働きなので、家事動線を良くすることを重視しました。水回りのすぐ隣にウォークインクローゼットを設けることで、洗濯から収納までを1階で完結できるようにしました。洗濯物を2階に運ぶ手間が一切なく、非常に効率的です。

そもそも、散らからない
前の家では、一度リビングを通ってからクローゼットに行く動線だったので、洗濯物がリビングに侵入してきて(笑)、どうしてもリビングが散らかってしまっていました。今回はリビングと動線を完全に分けることで、洗濯物がリビングに出てこなくなり、とても快適です。
散らかっていたのは、片づけていなかったからではありませんでした。
リビングを通らないと、しまえなかったから。
※個人の感想です。間取りは一例で、仕様・プランにより異なります。
場所
しまう場所から、
間取りを決める。
順番を、逆にします。部屋を決めて余ったところを収納にするのではなく、しまう場所を先に置いて、そのまわりに部屋をつくる。
玄関

玄関土間収納
外のものを、家に上げない
ベビーカー、自転車、キャンプ道具、部活の靴、車のタイヤ。靴のまま出入りできる場所があれば、外に置きっぱなしだったものが、家の中に納まります。
土間収納を大きく作り、可動棚をたくさん設置しました。扉を極力なくし、オープンな収納にしたことで、使いやすくなりました。[…]見せる収納にしたことで、出し入れも楽になりました。
玄関 → 洗面

シューズクローク
玄関を、通り抜けにする
家族はクロークを通って上がり、来客は玄関からまっすぐリビングへ。普段使いの靴を、急いで隠さなくてよくなります。
洗面 → リビング

ファミリークローゼット
服を、各部屋に配らない
家族全員ぶんの服を、1ヶ所に。「たたむ」と「しまう」のあいだにあった移動が、なくなります。
帰宅してすぐに服を脱いで片付け、そのままお風呂に入れる動線が良いと考えました。汚れた格好でリビングなどに入らなくて済むのが良いです。
キッチン

パントリー
買い物袋に、終点をつくる
玄関から、袋を提げたままキッチンまで。途中で降ろせる場所があるかどうかで、帰宅後の景色が変わります。
玄関からパントリー、キッチンにすぐ行ける動線にして、買い物帰りにすぐ荷物をしまえるような工夫をしました。
リビング

小上がりの床下・階段下
面積を使わずに、容量を足す
座る場所が、そのまま収納になる。階段の下も、掃除機や洗剤の置き場になります。
小上がり和室です。下が全部収納になるので物が収納でき、キッチンで何かしている時も子供の様子が見られるのが作った理由です。
家族
片づけるのが、
あなただけじゃなくなる。
収納の話は、たいてい「どうしまうか」で終わります。でも本当に変えたいのは、誰がしまうかかもしれません。
家族が片づけないのは、やる気の問題ではなく、置き場所がわかりにくいからであることが多い。自分のものが、自分の手の届くところに、はっきり決まっている。それだけで、「これどこ?」と聞かれる回数が減っていきます。
帰ってきた場所に、そのまま置ける。出かける前に、そこで全部そろう。動線の上に収納があると、片づけは”お願いするもの”ではなくなります。
回遊動線になっていて、和室とリビングと洗面と脱衣所、ファミリークローゼットが回れるようになったところが使い勝手が良いです。[…]また、収納をかなり増やしたので、生活していると溢れてくる物を収納できる場所がたくさんあることが良かったです。
坪数
増やしたいのは収納。
増やしたくないのは、坪数。
収納を足す
坪数が増える
金額が増える
この式が、収納の話をいつも途中で止めてきました。
ただ、床面積を増やさずに容量を足す方法は、いくつかあります。
小上がりの床下 / 階段の下 / 壁の厚み / 屋根の下
天井の高さや面積などの条件を満たした小屋裏収納は、延床面積に算入されない場合があります。つまり、坪数を増やさずに、しまう場所だけを増やせることがある。
それと、「広く、広く」と考えがちですが、自分たちに合った広さを見直すのも良いと思います。「ここをもう少し小さくして、その分を他に回せたな」と、建ててから思うこともありますね。
広くするより、配り直す。
※小屋裏収納の面積算入の可否は、建築基準法および各自治体の運用により異なります。すべての敷地・プランで成立するものではありません。詳しくは個別にご相談ください。
声
建ててから、
どう変わったか。

もう全然違いますね!まず収納量が圧倒的に増えたので、物がすっきり片付いて、部屋をより広く使えるようになりました。[…]広さと機能性、そして快適さ、すべてが向上しました。

動線です。帰ってきたら真っすぐ手を洗える、子どもが汚れて帰ってきてもリビングを通さず最短でお風呂へ。[…]洗濯したら真横に干して、干したら目の前で収納——全部”最短距離”にしました。
※個人の感想です。
会社
間取りの話ばかりしましたが、
家としても。
ハウス・オブ・ザ・イヤー 大賞4回・16期連続受賞
引き渡し実績 11,000棟以上2026年3月末時点・累計
最長60年保証創業1987年・神戸
断熱等級6〜7・耐震等級3HEAT20 G2〜G3水準/制震ダンパー
これから
思い出すのは、
たいてい建てたあとです。
打ち合わせで、たいてい出てこないもの。
服と食器の置き場所は、たいてい決まります。決まらないまま図面が終わるのは、年に数回しか使わないもののほうです。
そして家族は、待ってくれない。子どもが増えるのも、モノが増えるのも、こちらの都合とは関係なく進みます。
まずは「自分たちがどう暮らすか」を具体的にイメージして間取りを考えることが大事だと思います。生活動線まで想像して作ると、後悔が少ない家づくりになるはずです。[…]
家づくりは、どんなに考えても後から後悔する点は出てくると思います。だからこそ、自分たちが「こうしたい」と思ったことは、予算のことでケチらずに絶対にやった方がいいです。私たちも「ああしておけばよかったな」と思うことがいくつかあるので。
急ぐ必要は、ありません。
ただ、考えはじめるのは、
早いほうがいい。
冊子
まず、しまう場所から
見てみてください。
お渡しするのは、収納だけを16ページにまとめた冊子です。帰宅から片づけまでの動線図、同じ収納量で間取りがどこまで変わるかの比較、クローゼットの扉ごとの向き不向き、コートやスカートの実寸まで。
最後に、いま持っているものを書き出すページがあります。打ち合わせは、そこから始めると早い。
住んでいる方に話を聞きながら、社員がまとめた冊子です。



