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耐震・制振・免震の違いと住宅での選び方

住宅の地震対策には、主に耐震、制振、免震という三つの考え方があります。言葉が似ていますが、地震の揺れに対する働き方は異なります。

耐震は建物自体の強さで地震力に耐える方法、制振は建物内部の装置で揺れのエネルギーを吸収する方法、免震は建物と地盤の間に装置を設けて揺れを伝わりにくくする方法です。

どれか一つが常に最も優れているわけではありません。木造住宅では耐震性能を基本とし、必要に応じて制振を組み合わせるなど、敷地、建物、予算、維持管理に合わせて考えます。

耐震とは

耐震は、柱、梁、壁、床、基礎、接合部などを強くし、地震力に耐える考え方です。木造住宅では、筋交い、構造用面材、耐力壁、接合金物などを適切に配置し、地震の力を建物から基礎、地盤へ伝えます。

新築住宅は建築基準法の耐震基準に適合する必要があります。さらに、住宅性能表示制度の耐震等級によって、建築基準法レベルを等級1、その1.25倍の地震力に対する性能を等級2、1.5倍を等級3として評価します。

耐震等級は、あらゆる地震で建物が無被害になることを保証するものではありません。構造躯体の倒壊等防止や損傷防止に関する性能であり、家具、設備、内外装の被害は別に考える必要があります。

耐震等級・構造計算・住宅性能評価は何が違う?

耐震等級は、住宅性能表示制度に基づいて、地震に対する構造躯体の性能を段階で示したものです。耐震等級3は、耐震等級1で想定する地震力の1.5倍に対する性能を示します。

一方、構造計算は、建物にかかる力や、柱、梁、耐力壁、床、接合部、基礎などの安全性を確認するための計算です。耐震等級は性能の水準、構造計算はその性能を確認する方法と考えると分かりやすいでしょう。

また、住宅会社が設計上「耐震等級3相当」としている住宅と、登録住宅性能評価機関による設計住宅性能評価書や建設住宅性能評価書を取得した住宅は、確認方法が異なります。

住宅会社を比較するときは、耐震等級の数字だけでなく、どの計算方法で確認するのか、実際のプランごとに計算するのか、第三者機関の評価書を取得するのかまで確認しましょう。

耐震のメリット

住宅の基本構造として多くの建物に採用され、設計方法や材料の選択肢が多いことが特徴です。敷地周囲に建物が動くための空間を設ける必要がなく、一般的な木造住宅の間取りに取り入れやすい方法です。

耐震等級や構造計算によって性能を確認しやすい点もメリットです。

耐震の注意点

建物が地震力に耐えるため、揺れそのものが室内に伝わります。大きな揺れでは家具の転倒や物の落下が起こる可能性があります。家具固定、ガラス飛散防止、収納扉の対策などが必要です。

また、繰り返し大きな揺れを受けた後は、構造部材や接合部、内外装の点検が必要です。

制振とは

制振は、建物内部に設置したダンパーなどによって揺れのエネルギーを吸収し、建物の変形を小さくすることを目指す方法です。耐震構造に追加して使用します。

オイル、鋼材、粘弾性、摩擦など複数の方式があります。製品の性能だけでなく、設置本数、位置、建物の構造、間取りによって効果が変わります。

制振のメリット

建物の変形を抑えることで、構造部材や内外装への負担を軽減できる可能性があります。繰り返しの揺れへの備えとして採用されることもあります。

木造住宅向けの商品が多く、免震に比べて敷地や基礎の制約が少ない場合があります。

制振の注意点

制振装置だけで耐震性能を確保することはできません。耐力壁や接合部などの基本構造が必要です。

揺れの低減率は試験条件で異なります。装置の保証、点検、交換、地震後の確認方法も製品ごとに確認します。

制振ダンパーとは?耐震・免震との違いと種類を解説

免震とは

免震は、建物と地盤の間に積層ゴムやすべり支承、ダンパーなどの免震装置を設け、地面の揺れが建物へ直接伝わりにくくする方法です。

建物が地面に対してゆっくり大きく動くことで、室内の加速度を低減し、家具や設備への影響を抑えることを目指します。

免震のメリット

地震の揺れを建物へ伝えにくくするため、室内の揺れを大きく低減できる可能性があります。高層建築だけでなく戸建て住宅向けの免震システムもあります。

家具や設備の被害低減が期待できますが、転倒リスクがゼロになるわけではありません。家具固定は引き続き必要です。

免震の注意点

建物が水平方向へ動くため、敷地境界や配管、玄関アプローチなどに必要な空間と対応が求められます。地盤や建物形状によって採用の可否を個別に検討します。

免震装置の点検や維持管理が必要で、一般的な耐震・制振住宅より初期費用が高くなる場合があります。地下室が一律に不可などと判断せず、採用するシステムの設計条件を確認してください。

耐震・制振・免震の比較

耐震・制振・免震は、それぞれ地震の揺れに対する働き方が異なります

比較項目耐震制振免震
基本的な役割建物自体の強さで地震力に耐えるダンパーなどで揺れのエネルギーを吸収する地盤から建物へ揺れを伝わりにくくする
主な設置場所柱、梁、耐力壁、床、基礎、接合部など建物内部の壁や構造部分建物と地盤の間
住宅での位置付け地震対策の基本耐震構造に追加する対策耐震とは異なる仕組みで揺れを低減する対策
期待される効果建物の倒壊・崩壊を防ぐことを目指す建物の変形や構造部材への負担を抑えることを目指す室内へ伝わる加速度を低減することを目指す

どれか一つが常に最も優れているわけではありません。木造住宅では耐震性能を基本とし、建物の変形を抑えたい場合は制振を組み合わせる方法があります。室内へ伝わる揺れを大きく低減したい場合は免震も候補になりますが、敷地、費用、維持管理などの条件を早い段階で確認する必要があります。

費用だけで比較せず、目標とする耐震性能、建物の高さや形、間取り、地盤、敷地条件、地震後の点検、将来の修繕まで含めて判断しましょう。

どの方法を選ぶべきか

まず耐震性能を確認する

木造住宅では、耐震等級、構造計算、耐力壁の配置、床の剛性、接合部、基礎、地盤を確認します。制振や免震を検討する前に、建物の基本性能を明確にしましょう。

繰り返しの揺れへの備えを考える

耐震性能に加えて建物の変形を抑えたい場合は、制振装置を検討します。どの地震波でどの程度の効果を確認したか、実際の住宅では何本設置するかを確認します。

室内の揺れ低減を重視する

家具や設備への影響をできるだけ小さくしたい場合は、免震が候補になることがあります。ただし、敷地、費用、維持管理の条件を早い段階で確認する必要があります。

建物以外の地震対策も必要

耐震・制振・免震のどの方法を選んでも、家具や家電、食器、ガラスなどの室内被害がなくなるわけではありません。

家具の固定、収納扉のロック、ガラス飛散防止、寝室の家具配置、感震ブレーカー、非常用電源、水・食料の備蓄、在宅避難の計画も合わせて行いましょう。

建物の倒壊を防ぐことと、地震後も自宅で暮らし続けられることは別の課題です。給水、排水、電気、太陽光発電、蓄電池、トイレなど、災害後の生活も考える必要があります。

住宅会社へ確認する項目

地震対策を比較するときは、次の内容を確認してください。

・耐震等級と適用条件
・構造計算の方法
・耐力壁、床、接合部、基礎の考え方
・地盤調査と地盤補強
・制振装置の製品名、本数、配置、試験条件
・免震装置の点検、維持費、敷地条件
・大地震後の点検体制
・家具固定や停電対策の提案
・保証の対象と免責条件

「地震に強い」という言葉だけでなく、評価書、構造計算書、仕様書で確認しましょう。

ヤマト住建の耐震・制振・地盤への取り組み

ヤマト住建では、耐震等級3(構造計算)を基準に、地震に強い住まいをご提案しています。耐震等級3の認定取得は、プランと強度計算によります。

建物の構造には、木造在来軸組工法とパネル工法を組み合わせたハイブリッド工法を採用しています。柱、梁、土台で構成される軸組に耐力面材を組み合わせ、地震の力を建物全体へ分散させる考え方です。接合部には金物工法を取り入れています。

耐震性能に加えて、商品やプランに応じて制振ダンパー「evoltz(エヴォルツ)」を採用しています。evoltzは、建物が揺れたときのエネルギーを吸収し、建物の変形や構造部材への負担を抑えることを目的とした制振装置です。制振装置だけで耐震性能を確保するのではなく、耐震構造と組み合わせて使用します。

基礎には鉄筋コンクリートベタ基礎を採用しています。また、ジャパンホームシールド株式会社と提携した地盤サポートシステムを導入し、地盤の調査・解析結果に基づく地盤品質保証をご案内しています。現在の保証期間は、工事期間に加えて、お引き渡し日から30年間です。

耐震等級、構造計算、制振装置、基礎、地盤品質保証の適用条件は、商品、プラン、建築条件、契約時期などによって異なる場合があります。検討時には、実際のプランにおける計算内容、制振装置の本数と配置、保証書の対象範囲をご確認ください。

まとめ

耐震は建物の基本構造で地震力に耐える方法、制振は建物の揺れのエネルギーを吸収する方法、免震は地盤からの揺れを建物へ伝えにくくする方法です。

どれか一つを選べば安全が保証されるわけではありません。耐震性能を基本に、敷地、間取り、予算、維持管理、地震後の暮らしを考え、必要な対策を組み合わせましょう。

FAQ

耐震等級3なら地震で被害を受けませんか?

被害ゼロを保証するものではありません。耐震等級は構造躯体の性能を示します。内外装、設備、家具の被害や、想定を超える地震については別に対策が必要です。

制振と免震はどちらが優れていますか?

役割と条件が異なるため、一概に優劣はつけられません。建物、地盤、敷地、予算、求める揺れの低減によって選びます。

免震住宅なら家具を固定しなくてもよいですか?

免震でも揺れは残り、想定を超える地震もあります。家具固定や物の落下防止は必要です。