住宅ローンの変動金利が上がるとどうなる?返済額と確認ポイント

住宅ローンを検討していると、「変動金利が上がったら返済が苦しくなるのでは」と不安になることがあります。
特に、低金利の時期が長く続いたあとに金利上昇のニュースを見ると、変動金利を選んでよいのか、固定金利にした方がよいのか、住宅購入の時期を見直すべきなのか迷いやすくなります。
ただし、金利が上がること自体を必要以上に怖がるよりも、まずは「どのくらい返済額が変わるのか」「自分の家計ではどこまで対応できるのか」を数字で確認することが大切です。
この記事では、住宅ローンの変動金利が上がったときの影響と、借入前後に確認したいポイントを整理します。
変動金利とは
変動金利とは、借入後も市場金利や金融機関の基準金利などに応じて、適用金利が見直される住宅ローンの金利タイプです。
一般的に、借入時の金利は固定金利より低く設定されることが多い一方で、将来金利が上がると返済額や利息負担が増える可能性があります。
住宅ローンの主な金利タイプは、次の3つです。
| 金利タイプ | 特徴 | 注意点 |
|---|---|---|
| 変動金利 | 借入後も金利が見直される | 金利上昇時に返済負担が増える可能性がある |
| 固定期間選択型 | 5年、10年など一定期間だけ金利を固定する | 固定期間終了後の金利条件を確認する必要がある |
| 全期間固定型 | 借入時に完済までの金利が決まる | 変動金利より借入時の金利が高くなる場合がある |
住宅金融支援機構の「住宅ローン利用者調査(2026年1月調査)」では、2025年4月から9月までに住宅ローンを借り入れた調査回答者1,237人のうち、利用した金利タイプは変動型が75.0%、固定期間選択型が14.9%、全期間固定型が10.1%でした。
これは調査回答者における割合であり、国内の住宅ローン利用者全体を集計した数値ではありません。変動金利が多く選ばれていることは参考になりますが、利用者が多いことだけを理由に金利タイプを決めるのではなく、自分たちの返済余力や金利上昇への対応力を確認する必要があります。
金利が上がると住宅ローン返済額はどう変わる?
金利上昇の影響は、これから住宅ローンを借りる場合と、すでに変動金利で返済している場合で異なります。
これから借りる場合は、借入額と返済期間が同じでも、適用される金利が高いほど毎月返済額と総返済額が増えます。
たとえば、5,000万円を35年返済、元利均等返済、ボーナス返済なしで借り、借入期間中の金利が変わらないものとして試算すると、次のようになります。
| 金利 | 毎月返済額の目安 | 総返済額の目安 | 年1.00%との差 |
|---|---|---|---|
| 年1.00% | 約141,000円 | 約5,928万円 | – |
| 年1.25% | 約147,000円 | 約6,176万円 | 約6,000円増 |
| 年1.50% | 約153,000円 | 約6,430万円 | 約12,000円増 |
| 年2.00% | 約166,000円 | 約6,957万円 | 約25,000円増 |
この試算は、それぞれの金利が借入期間中変わらないと仮定した比較です。変動金利が返済途中で上昇した場合の実際の返済額を示すものではありません。また、融資手数料、保証料、団体信用生命保険の上乗せ金利などは含んでいません。
返済中に変動金利が上がった場合の影響は、その時点の残元金や残りの返済期間、返済額の見直しルールによって変わります。自分たちの借入予定額だけでなく、返済中の金利上昇を想定した試算も金融機関へ確認しましょう。
金利が上がっても毎月返済額がすぐに変わらない場合がある
変動金利では、適用金利と毎月返済額の見直し時期が同じとは限りません。
元利均等返済を採用する住宅ローンの中には、金利が変わっても毎月返済額を5年間据え置く「5年ルール」や、返済額を見直す際の増額を前回返済額の125%までとする「125%ルール」が設けられている商品があります。
これらのルールが適用される場合、金利が上がっても毎月返済額はすぐに増えないことがあります。ただし、返済額に占める利息の割合が増え、元金の減り方が遅くなる可能性があります。金利の上昇幅が大きい場合は、支払いきれなかった利息が生じることもあります。
一方、すべての住宅ローンに5年ルールや125%ルールがあるわけではありません。元金均等返済や、一部の金融機関の商品では適用されない場合があります。契約前には、金利の見直し時期、返済額の見直し時期、5年ルール・125%ルールの有無、未払利息が生じた場合の取り扱いを、商品説明書や契約書で確認しましょう。
変動金利を検討するときに確認したいこと
変動金利を選ぶ場合は、借入時の金利だけでなく、将来の金利上昇に耐えられるかを確認しておきましょう。
主に確認したいのは、次の項目です。
- 借入額が世帯年収に対して大きすぎないか
- 毎月返済額が現在の家計に収まるか
- 教育費、車、老後資金など将来の支出を見込んでいるか
- 金利が0.5%、1.0%上がった場合の返済額を試算しているか
- 収入が一時的に減った場合の対応余力があるか
- ボーナス返済に頼りすぎていないか
- 固定金利や固定期間選択型と比較しているか
住宅金融支援機構の同調査では、利用した住宅ローンを選んだ理由として「金利の低さ」が最も多く挙げられています。金利の低さは重要な比較ポイントですが、住宅ローンは長期間続くため、借入時点の返済額だけでなく、変化に対応できる家計かどうかも見ておく必要があります。
変動金利と固定金利はどちらがよい?
変動金利と固定金利のどちらがよいかは、金利の高い・低いだけでは決められません。毎月の返済負担と、将来の返済額をどこまで見通したいかの両面で考えましょう。
変動金利は、借入時の金利が固定金利より低く設定されることが多い一方、金利上昇により返済負担が増える可能性があります。全期間固定金利型は、契約時に完済までの金利が決まるため、将来の支出計画を立てやすい点が特徴です。
ただし、「固定金利」を選べば、必ず完済まで金利が変わらないわけではありません。固定期間選択型は、一定期間だけ金利を固定する仕組みです。固定期間が終わったあとの適用金利や返済額は、当初の契約時点では確定していません。
参考:全国銀行協会「変動で返す?固定で返す?住宅ローンの金利タイプ」
金利タイプは家計の余力と支出予定で比較する
毎月の返済額を抑えたい場合でも、変動金利を選ぶ前に、返済額が増えたときに対応できるかを確認しましょう。貯蓄に余裕があるか、借入残高や残りの返済期間がどの程度かによって、金利上昇への備え方は変わります。
一方、教育費が増える時期の支出を見通したい、金利変動が大きな心理的負担になるといった場合は、一定期間または完済まで金利を固定する選択肢を比較する意味があります。固定後の返済額そのものが家計に収まることも必要です。
「返済額の低さ」「金利を固定したい期間」「家計の余力」を並べ、何を優先したいかを家族で整理しましょう。
金利が上がってから固定金利へ変えるのは遅い?
金利上昇後に固定金利へ変更することが、必ず不利になるとは限りません。将来の返済負担を見通しやすくすることも、見直しの目的になるからです。
ただし、固定金利と変動金利が同じ時期・同じ幅で動くとは限りません。変動金利が上がったときに、その時点でも以前と同じ条件で固定金利を選べるとは考えない方がよいでしょう。
参考:全国銀行協会「Q.現在借りている変動金利がアップしないか、不安です」
過去に選べた金利との比較だけでは、これからの判断はできません。「現在の契約を続ける場合」と「いま提示されている固定金利へ変更する場合」を、変更費用も含めて比べることが大切です。費用が増えても返済の見通しを優先したいのか、金利上昇に備えながら変動金利を続けるのかを検討しましょう。
住宅ローンの借り換えと金利タイプ変更で確認したいこと
返済中の住宅ローンを見直すときは、まず「現在の契約の中で金利タイプを変える方法」と「新しいローンを契約して借り換える方法」を分けて考えましょう。
金利タイプの変更は、現在の借入先で、契約上選択できる範囲の金利タイプへ変更する手続きです。借り換えは、新しい住宅ローンで現在の住宅ローンを返済する方法で、別の金融機関を利用するのが一般的です。
同じ金融機関でも、単なる金利タイプの変更なのか、新たな契約が必要なのかによって手続きは異なります。選べる固定期間、適用金利、手数料、手続きの期限を確認してください。「同じ銀行なら無料」「希望すれば全期間固定にできる」とは限りません。
金利差だけでなく、諸費用を含めて比較する
借り換えでは、融資手数料、契約方法に応じた印紙税、抵当権の抹消・設定に伴う費用、現在のローンの完済に伴う費用などを確認します。保証料の有無や精算も契約によって異なります。
費用は借入額や契約条件で変わるため、一律の相場だけで判断せず、見積もりを取りましょう。諸費用を新しいローンに含める場合は、その分の借入額や利息負担も確認する必要があります。
参考:住宅金融支援機構「お借入金利の検索結果」内、借換え時の費用に関する注意事項
比較の際は、次の条件をそろえると判断しやすくなります。
- 比較を始める日と、その時点の借入残高
- 残りの返済期間と完済時の年齢
- 毎月返済額、ボーナス返済額、諸費用を含む今後の支払総額
- 金利を固定する期間と、固定期間終了後の条件
- 団体信用生命保険の保障内容と追加負担
毎月返済額が下がっても、返済期間を延ばしたことで支払総額が増える場合があります。変動金利の将来の支払総額は確定しないため、金利が変わらない場合と上がる場合など、複数の前提で試算しましょう。
審査・保障・住宅ローン控除も確認する
借り換えでは、新たな融資審査があります。収入や健康状態などが以前の借入時と変わっていれば、希望する条件で契約できるとは限りません。団体信用生命保険についても、加入条件、保障範囲、免責事項を確認し、金利だけで判断しないことが大切です。
参考:日本FP協会「住宅ローンの借換えで知っておきたいメリットと注意点」
住宅ローン控除を利用している場合は、借り換え後も要件を満たすか確認してください。国税庁は、従前の住宅ローンを返済するための借入れであることが明らかで、新しいローンの償還期間が10年以上であることなどを要件として案内しています。借り換えで控除期間が延びるわけではありません。諸費用を含めて借入額が増える場合は、控除対象となる残高の計算にも注意が必要です。
参考:国税庁「No.1233 住宅ローン等の借換えをしたとき」
実際の適用条件は、借入先や税務署、税理士などへ確認しましょう。
金利上昇時代に住宅購入を待つべきか
金利が上がっていると、「下がるまで待った方がよいのでは」と考える人もいます。
ただし、住宅購入の判断は金利だけで決めるものではありません。待つことで、家賃の支払いが続く、希望する土地や物件が変わる、建築費や設備費が変動する、家族の暮らし方が変わるといった要素もあります。
一方で、焦って予算を超える住宅ローンを組むのも避けるべきです。
住宅購入の時期を考えるときは、次の項目を並べて確認しましょう。
- 現在の家賃と今後数年の住居費
- 希望エリアの土地・住宅価格
- 建築費や諸費用の見通し
- 借入可能額ではなく、無理なく返せる金額
- 子どもの進学、転職、転勤、親の介護などの予定
- 現在の住まいで困っていること
- 購入を先延ばしした場合のメリットとデメリット
「今すぐ買うべき」「待つべき」と一律に決めるのではなく、自分たちの家計と暮らしに合わせて判断することが大切です。
返済が不安なときにやるべきこと
住宅ローンの返済に不安がある場合は、現在の収入、毎月の支出、貯蓄、今後増えそうな支出を整理しましょう。返済中であれば、返済予定表や契約書で、残高、残りの返済期間、適用金利、金利と返済額の見直し時期も確認します。
返済額の差を積み立て、金利上昇に備える
変動金利で返済を続ける場合、家計に余裕があるうちに、返済負担の増加に備える資金を積み立てておく方法があります。
たとえば、同じ借入残高・残りの返済期間・返済方式で固定金利の毎月返済額を試算し、現在の毎月返済額との差を積立額の目安にする考え方です。ここで比べるのは「金利の差」そのものではなく、「毎月返済額の差」です。借入残高に金利差を掛けるだけでは、実際の毎月返済額の差にはなりません。
ただし、積み立てていれば、どのような金利上昇にも対応できるわけではありません。教育費や住宅の修繕費に使う予定の貯蓄とは分けて考え、返済額が変わった際は積立額や家計全体を見直しましょう。
返済のための備えと投資資金を分ける
近い将来の返済に使うお金は、必要なときに取り出せることと、価格変動の影響を受けにくいことを重視しましょう。
NISAを利用していても、株式や投資信託には元本割れの可能性があります。住宅ローンの返済負担が増えた時期に、運用資産も値下がりしている場合があります。返済用の備えを投資の利益でまかなえる前提にしたり、運用のために借入れを増やしたりする判断は慎重に考える必要があります。
参考:金融庁「資産形成の基本」
返済が厳しくなりそうなら、早めに借入先へ相談する
すでに住宅ローンを返済中で、返済が厳しくなりそうな場合は、積み立てや借り換えだけで解決しようとせず、早めに借入先の金融機関へ相談してください。返済条件の見直しの可否は、金融機関や契約内容によって異なります。
金融機関との間でトラブルが解決できない場合は、金融庁が案内する金融ADR機関などの相談・苦情窓口を確認できます。金融サービス利用者相談室では、相談内容に応じた窓口の紹介や論点整理などの助言を受けられます。
ヤマト住建では資金計画も相談できます
注文住宅を建てる場合は、住宅ローンだけでなく、土地代、建物本体工事費、付帯工事、外構、登記、火災保険、引っ越し、家具・家電など、住み始めるまでに必要な費用をまとめて考える必要があります。
ヤマト住建では、店舗や住宅展示場への来場・来店時に、建物・土地・諸費用を含めた家づくりの総額や、住宅ローンを含む資金計画について相談できます。ご希望や相談内容に応じて、ファイナンシャルプランナーを交え、現在の収入や支出、教育費、老後資金など、将来の家計も見据えながら資金計画を検討することも可能です。
金利や住宅ローンの借入可能額だけで判断せず、家族の暮らし、住宅性能、土地条件、将来の支出まで含めて、無理なく返し続けられる計画を立てることが大切です。
まとめ
住宅ローンの変動金利が上がると、毎月返済額や利息負担が増える可能性があります。影響を把握するには、自分たちの借入額や残高、返済期間をもとに、複数の金利パターンで試算することが大切です。
返済中のローンを見直す場合は、現在の借入先での金利タイプ変更と、新しい契約による借り換えを分けて考えましょう。適用金利だけでなく、諸費用、固定期間、団体信用生命保険、住宅ローン控除への影響まで確認します。
固定金利に変えるかどうかは、変更時点の金利の高さだけでは決められません。今後の返済を見通しやすくするための費用として納得できるか、変動金利を続ける場合に家計で備えられるかを比較しましょう。
これから住宅を購入する場合も、金利だけで時期を決めず、家賃、土地や建物の費用、家族の予定を含めて考える必要があります。借りられる金額ではなく、返し続けられる金額を基準に資金計画を立てましょう。
FAQ
変動金利が上がると、すぐに毎月返済額も上がりますか?
金融機関や契約内容によって異なります。変動金利では金利が定期的に見直されますが、返済額の見直しルールは金融機関や商品によって違います。契約前に、金利の見直し時期、返済額の見直し時期、上限ルールの有無を確認しましょう。
変動金利と固定金利はどちらを選べばよいですか?
一律の正解はありません。家計の余力、残りの返済期間、将来の支出予定、金利変動への不安を踏まえて比較しましょう。固定金利を選ぶ場合は、完済まで固定するタイプか、一定期間だけ固定するタイプかも確認してください。
変動金利が上がってから固定金利へ変更しても意味はありますか?
今後の返済を見通しやすくすることが目的なら、検討する意味があります。ただし、以前と同じ固定金利を選べるとは限りません。現在提示されている条件と変更費用を確認し、変動金利を続ける場合と比較しましょう。
同じ金融機関で固定金利へ変更すれば、費用はかかりませんか?
一律に無料とはいえません。現在の契約で変更できる金利タイプ、手数料、申込方法、変更できる時期を確認してください。新しいローンを契約する借り換えの場合は、審査や登記なども含めた費用・手続きを別途確認する必要があります。
金利が上がっているときは、住宅購入を待った方がよいですか?
金利だけで購入時期を決めるのは避けましょう。待つことで家賃の支払いが続く、希望エリアの価格が変わる、建築費が変動するなどの影響もあります。一方で、予算を超える借入は避ける必要があります。複数の条件を並べて判断することが大切です。
住宅ローンの返済が厳しくなりそうな場合はどうすればよいですか?
早めに借入先の金融機関へ相談してください。返済条件の見直しや相談対応の可否は契約内容によって異なりますが、滞納してからでは選択肢が限られる場合があります。金融機関とのトラブルが解決できない場合は、金融ADR制度などの相談先も確認できます。
住宅ローンはいくらまで借りてもよいですか?
借入可能額ではなく、無理なく返し続けられる金額を基準に考えましょう。毎月返済額だけでなく、固定資産税、火災保険、修繕費、教育費、車の費用、老後資金なども含めて家計を確認することが大切です。